『わたし、狩猟始めました』は、都会で暮らす普通の女性が震災を機に生きることに向き合う過程で、生活としての狩猟を始めるまでの心の動きを丁寧に綴った本です。
少々情緒的すぎる部分も無いことはないですが、本当に普通の感性を持った女性が、生きている動物を殺し、解体し、食べるという一連の過程で感じたことを、過不足なく、押し付けがましくなく、ありのままに表現されています。
「自分の暮らしや幸せを人任せにしておくことが、どれだけ不安定で無責任なことか、痛感したのです」
という一節は、特に共感出来ました。
私もかつては狩猟免許を持っていたこともあったり、ニワトリやシカやウサギを自分で解体して食べたことがあります。また、農業経営者を目指しているので、農作物を自分で育てて食べるという過程も経験しています。
それらの経験から、自分の暮らしや幸せを、一部でも自分の手でつくり上げることができるという状態、せめてある程度自分のコントロール下にある状態であるということは、とても楽しいことでありとても気持ちが楽なのです。不安なことはたくさんありますが、最悪の状態に陥ってもなんとかなるだろうと思えるのです。
その意味で、一度ニワトリを自分の手で殺して食べるという経験は大切だと思います。普段は誰かが肩代わりしてくれているその負担を知ることで、他の人へのおもいやりやすべての生物に対する想像力に触れられるのではないでしょうか。
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