2013年11月26日火曜日

もしも果てが見えたなら

野崎まどの『2』を再読しました。

この本はただの恋愛小説です。
ラノベですしミステリーだかSFだかホラーだかラブコメだか分類が難しいですし、そもそもこの本を読むためにはデビュー作の『[映]アムリタ』から『2』までの著書5冊を読んでおかないと十分に理解できないし楽しめないという鬼畜仕様ですし、ものすごくハードルが高いのですが、そのハードルを越えるとそこには多分あなたがみたことのない世界が広がっているんですよ。

ちょっとネタバレになるんですが
この本はジブリの「風立ちぬ」に一番近いんじゃないかなと思うんですよね。
「風立ちぬ」は空を飛ぶことというきれいなものだけを追い続けた男とそれを支える女を限りなくきれいに描いた狂気の恋愛ものじゃないですか。
この本もまさにそれで、男と女の立場は逆なんですが、究極の映画を作る女とそれを献身的に支える男の話なんですよね。こう書くとなんだか大したことないですが、本当に「風立ちぬ」レベルで見事に狂気の所行なんですよね。でもそれがとても美しいと思えてしまうのです。
そしてそんなストーリーを考えた作者は頭おかしいと思ってしまいます。『野崎まど劇場』を読めば頭がおかしいんだと確信します。



まあいずれにせよ、この本はただの恋愛小説ですが、とびっきりの恋愛小説です。
ぜひ読んでみてください。絶対損はしません。

0 件のコメント:

コメントを投稿